航空券からブッキング(予約)クラスを読み解く

 世間はゴールデンウィークということで、燃油サーチャージも下がったことですし、恐らく海外旅行に行かれた方も多いと思うのですが、新型インフルエンザの流行が怖いですね。実は私の父が現在、南米のボリビアに赴任しているのですが、約1年ぶりにそろそろ帰国するそうです。しかし、こんな状態だと果たして帰ってこれるのか……。

2010/1/132010/1/14→この記事にアクセスされる方が多いので、もう少し違った角度からブッキングクラスの説明をしてみました。

航空券を見てみよう

 さて、ブッキングクラスの説明に入る前に、航空券そのものの説明を少ししておきたいと思います。航空券をこれまでにじっくりと見たことってありますか? 現在、国際航空券(国内航空券も同様)はほぼ100%がeチケット(電子航空券)化されています。eチケットとは、航空券の発券に必要なデータをすべて航空会社のコンピュータにデータとして記録したものです。最近は格安航空券だろうが、PEX系(正規割引)航空券だろうが、ほぼ発券はeチケットで行なわれているので、いわゆる紙の航空券を目にすることはもほとんどなくなりました。航空券を発券した際に、航空会社や旅行代理店からメールなどで送られてくるものはeチケットではなく、あくまでもeチケットの控えで(便宜上、この控えをeチケットと呼ぶこともありますが)、チケット自体は航空会社のコンピュータにデータとして保管されています。つまり、チケット自体を持ち歩く必要がないので、顧客は紛失することがない、航空会社にとっては紙が不要になるため経費の節減になるというメリットがあります。

 では、実際にそのeチケット控えを少し見てみましょう。

 今回ここに用意したのは、私が実際に使ったフライトのeチケット控えで、台湾発券の台北⇔成田のフライトになります。eチケット控えのデザインは規定されていないので、航空会社が発行するものや旅行代理店が発行するものによって書き方が多少変わるのですが、基本的に書いてある内容はほぼ一緒です。

2種類ある航空券の「クラス」

 まずは、このeチケットの見方を説明する前に、「クラス」について説明をしておきたいと思います。恐らく、「ブッキングクラス」「予約クラス」で検索をしている方は、その意味を調べていることが多いのだと思いますが、まずはっきりしておきたいのは航空券には2種類のクラスがあることです。1つは座席のクラス、もう1つは航空券のクラスです。座席のクラスというのは、すでにほとんどの方はご存知だと思いますが、ファースト、ビジネス、(プレミアム)エコノミーなど席の種類。そして航空券のクラスというのが「予約クラス」「ブッキングクラス」のことです。以前に一度書いたと思うのですが、予約クラス、ブッキングクラスというのは、航空券の等級のようなもので、アルファベット1文字で示されます。同じ座席クラス(例えば、エコノミー)でも複数のブッキングクラスに分かれており、これはそのまま価格に反映されます。つまり、ブッキングクラスが高い(等級が高い)チケットは価格が高く、ブッキングクラスが低い(等級が低い)チケットは価格が安くなるわけで、これが同じエコノミークラスの航空券でもさまざまな価格がある理由です。

 ブッキングクラスが高いとどんなメリットがあるかというと、一例として次のようなことが挙げられます。

  • マイル加算率が高くなる
  • オーバーブッキングやキャンセル待ちの際に、優先的に席を回してもらえる(インボラアップグレード*1なども該当)
  • マイルを使った座席のアップグレードができる(エコノミー→ビジネス、ビジネス→ファーストなど)
  • 予約を変更できる(手数料が必要なこともあり)

座席クラスとブッキングクラスでは同じアルファベットが使われている!

 ただしこのブッキングクラスで使われるアルファベットは、座席クラスと同じアルファベットも使われるため、たまに混乱される方もいるようです。たまにQ&Aサイトなどで、「搭乗券のCLASSにYと書いてあったので、マイルを加算しようと思ったら対象外と言われました。CLASSがYなのに、なぜでしょうか?」などの質問を見かけますが、搭乗券に書いてあるCLASSは座席クラスのことが多いです(ブッキングクラスが書いてある場合もあります)。ブッキングクラスそのものは、eチケット控えに必ず載っているので、マイルの事後加算をする際に提出が必要な書類として搭乗券の半券とeチケットの控えが求められるわけです。そして、この質問の答えは、「搭乗券に書いてあった「Y」とは座席クラスのことであり、実際のブッキングクラスは加算対象外だから」ということだと思います。

 座席クラスで使われるアルファベットは、ファーストが「F」、ビジネスが「C」または「J(これはたまに見かけます)」、(プレミアムエコノミーが「PY」など)、エコノミーが「Y」です。そして、これらのアルファベットも通常はブッキングクラスでも使われます(アルファベット2文字である「PY」はブッキングクラスでは使われません)。そして、これらが混乱を引き起こしていることもあるようです。そして、座席クラスのアルファベットは席の種類と同じく3(4)種類しかありませんが、ブッキングクラスはもっとあります。例として、ANAのブッキングクラスで使われているアルファベットを挙げてみます。

●F A C Z J D Y E B M S K H W L G N
←高い     ブッキングクラス      低い→
 左側に行けばいくほどブッキングクラスは高くなり、右に行けばいくほど低くなります。ちなみに、F、Aはファーストクラス、C、Z、J、Dはビジネスクラス、それ以外はエコノミークラスです。これに加えてTというツアー用のブッキングクラスと、O(ファースト)、I(ビジネス)、X(エコノミー→例であげたeチケット控えと同じ)という特典航空券用のブッキングクラスがあります。なお、これはANAのブッキングクラス一覧であり、他の航空会社はこれと異なります。

eチケット控えから分かる座席クラスとブッキングクラス

 堅苦しい説明は抜きにして、さっさと説明を進めます。ずばり、このチケットの座席クラスはY、ブッキングクラスはXです。注目すべきところは「クラス」で、ここには「X(Y)」と書いてありますが、これが該当する箇所です。自分はエコノミークラスで座席を予約したので、この場合の「Y」は座席クラスであるとわかります。そして、残る「X」がブッキングクラスというわけです。

 実は、ここ以外にももう一箇所ブッキングクラスが分かるところがあります。それは「運賃種別 FARE BASIS」の欄です。ここには「XBP00」とありますが、実は運賃種別(FARE BASIS)の頭文字(この場合は「X」)がブッキングクラスであることが多いのです。これはeチケットの控えのデザインによって違うこともありますが、航空会社が販売する正規割引運賃(PEX)の場合はほぼそうなります。このようにして判明したブッキングクラスを元に、マイルの加算率やアップグレードの可否が分かるというわけです。ちなみに例で使ったeチケット控えのブッキングクラスXは、ANAの特典航空券のエコノミークラスという意味なので、マイルの加算はありません。

代理店経由で予約した場合

 例で挙げたeチケット控えは航空会社で直接航空券を予約した場合のものですが、旅行代理店経由で格安航空券を予約した場合はどうなるのでしょう。旅行代理店の場合はいくつかの発券システムを使うことが多いようです。サンプルがあったので、こちらを見て見ましょう。こちらは「INFINI」という発券システムを使った場合のものです。

https://www.tripple.jp/itineraryUserUi/ui/pages/u/u9900/u9906.aspx?lang=01&WSRV=TR01

 成田⇔シンガポールのチケットのサンプルのようですが、「便名/クラス FLIGHT/CLASS」に「NH0901/ Y」と書いてあります。どうやらCLASSはYと書いてありますが、これが座席クラスなのかブッキングクラスなのか、これだけでは判明しません。そこでFARE BASISを探してみます。FBは運賃種別のことであると書いてありますので、欄外にある「FB:YW2」がFARE BASISにあたり、この場合のブッキングクラスは「Y」です。つまり、座席クラスとブッキングクラスが同じアルファベットというケースがこれです。この場合のCLASSは、座席クラスなのかブッキングクラスなのかは分かりません(が、ブッキングクラスも座席クラスも共にYだということが分かります)。

 ここからは蛇足ですが、ブッキングクラス「Y」というのは、たいていがエコノミークラスの正規運賃です。つまり、このチケットはエコノミークラスの中でもっともブッキングクラスが高い(等級が高い)ものだということ。運賃の合計(TOTAL FARE)を見るとJPY305370(30万5370円)となっているので、確かに高いブッキングクラスのチケットだぁと思いました(笑)。ちなみに、ANAマイレージクラブの場合、ブッキングクラスYのマイル加算率は100%です。

 さらにもう1つ。こちらは「AXESS」という発券システムを使った場合のものです。

https://www.tripforyou.net/trip4u/smpl_p_eticket.html

 大阪(伊丹)⇔羽田/成田⇔ホノルル(ハワイ)のチケットのサンプルのようですね。FB(FARE BASIS=運賃種別)は「QLZP3HWI」なので、ブッキングクラスはQかと思いきや、「航空会社/便名/クラス AIRLINE/FLIGHT/CLS」の「CLS」が2種類あり、大阪⇔羽田が「Y」で、羽田⇔ホノルルが「Q」になっています。これはどういうことなのでしょうか? これは国際線乗り継ぎ運賃というものがあり、大阪⇔羽田間は100%のマイルが貯まるブッキングクラスYが適用され、「Y」となっているのだと思います。つまり、この場合の「航空会社/便名/クラス AIRLINE/FLIGHT/CLS」の「CLS」はブッキングクラスを表わしているということが分かります。そして、成田⇔ホノルル間のブッキングクラスはQで、JALマイレージバンクの場合、ブッキングクラスQのマイル加算率は70%です。これに大阪⇔羽田の100%のマイルが加算されるというわけです。

自分が買う格安航空券のブッキングクラスを事前に知りたい

 航空会社から直接購入する場合は、安い正規割引運賃の場合でも、事前にFARE BASISやブッキングクラスが明示されることが多いので、ブッキングクラスも比較的判明しやすいのですが、格安航空券の場合は購入するまでわからないことが多いようです。旅行代理店によっては問い合わせると教えてくれることもありますが、中には購入するまで教えないというケースもあると聞きます。マイルを一生懸命貯めていて、どうしてもマイル加算対象外のチケットを購入するのがイヤな場合はPEXをおススメします。

 本当はeチケット控えから運賃計算や航空券の条件など、もっと色々なことが分かるのですが、今回はブッキングクラスのみに絞って説明しました。また機会があれば、さらにディープなeチケット控えの解説をしたいと思います。

2010/1/132010/1/14→この記事にアクセスされる方が多いので、もう少し違った角度からブッキングクラスの説明をしてみました。

 それではまた〜。

*1:involuntary upgradeのこと。オーバーブッキングなど、航空会社の都合で座席クラスが無償でアップグレードされること