AirAsia X搭乗記(その1〜LCCの登場とAirAsia)

tabino_konomi2010-04-05

 私事で恐縮ですが、4月1日をもって部署移動や組織変更などがあり、今年は去年ほど旅ができなそうな予感(涙)。それもあったので、つい先日はどっかーんと旅行をしてみたのですが、帰ってきてからは鬼のような忙しさで、トホホ……。
 そして、すでに結論があって、今年は去年よりも旅の回数を減らさざるを得ないというのが現状です。まあ、サラリーマンをやっている限りはしょうがないことです。誰かのように「旅とは人生であり、人生とは旅である(反対だっけ?)」と言ってみたいものですが(笑)、やはり私にとって旅は趣味であり、旅とはあくまでも私の趣味に過ぎません。悲しいがな、稼がないと旅には出られないので、仕事なしに趣味は成り立たないというわけです。とはいうものの、うまく休みを使って今年も出来る限り旅に出たい!と思う今日この頃です。
 さて、先日の旅行では、初めてマレーシアのLCC、AirAsiaの中/長距離路線となる「AirAsia X 」に搭乗しました。AirAsia Xが気になる方もいらっしゃると思いますし、そもそもLCCってどうなの?って思っている方もいるかと思いますので、解説と搭乗体験記を2回に渡って書いてみようかと思います。初回の今回はLCCとAirAsiaの話!

そろそろ本格的に日本にもLCCが入る予感!

 さて、まずはLCCの解説から。突然LCCといわれても、それがいったい何のことやらわからん!という方もいらっしゃると思うのですが、LCCとは英語で"Low-Cost Carrier"の頭文字を取ったもの。日本語に翻訳すると、「低コスト航空路線」なのですが、意訳すれば「格安航空会社」にでもなるのでしょうか? しかし、格安航空会社といってもそれだけではイマイチ内容が通じないと思うので、その意味を説明しつつ、このBlogではLCCの単語をそのまま用います。
 そもそもLCCが生まれた背景には、IATA(International Air Transport Association国際航空運送協会)という航空業界の協会が見過ごせません。この協会は1919年に国際線運行に関わる航空会社や旅行会社などが、航空運賃や輸送などに関する規則を規定するために設立された協会です。この協会に参加している航空各社は航空運賃の協定(IATAカルテル)を結んでおり、長らく航空会社は独断で航空券の価格を引き下げることができませんでした*1
 しかし、1970年代以降のオイルショックによる不況や、大型航空機(いわゆるジャンボジェット)の登場による座席の過剰供給、航空会社の経営状態の悪化(無計画な路線拡大や設備投資の失敗)などにより、大手航空会社はこれまで自らの身を守ってきたはずのIATAカルテル体制を維持できなくなり、自主的に価格を下げざるを得なくなってきました。
 そのような状況の中で生まれたのがLCCおよび格安航空券です。中でも既存の航空会社の経営を圧迫してきた"サービス"を省き、航空券の販売ルートをWebサイトなどの直販にできるだけ頼るという、これまでの常識を覆して徹底的なコストカット行い低価格化を実現したLCCは、IATAカルテルの維持に四苦八苦していた既存の大手航空会社を押しのけ、さらには航空規制緩和の影響もあり、世界においてすでに市民権を得るまでに成長していると思われます。
 日本ではまだ耳慣れないLCCですが、実際のところ、いくつかのLCCはすでに日本に就航しています。先日、燃料費を支払うことができずマカオ政府に営業権を剥奪されたビバマカオ航空もその1つでした。
 日本の空港は世界でも類を見ないほど離/発着料金が高く、さらに日本の航空業界そのものの規制緩和が海外に比べて進んでいないため、日本において本格的なLCC参入はまだないように見えます。しかし、例えば先日開港した茨城空港は、こういったLCCの誘致を行っており、LCCが就航しやすくするためにコストを抑えたターミナルや、ボーディングブリッジを廃した搭乗口などを用意しており、今後はこのような空港も増えることで、LCCの日本市場への参入が進むと思われます。いずれにせよ、日本においては認知度も低く、就航路線も少ないLCCですが、海外において存在感が年々高まっていることは事実です。

東南アジア最大のLCC、AirAsia(エア・アジア)

 今回紹介するAirAsia(エア・アジア)は、マレーシアに本拠地を置くLCCです。ここ数年のうちに東南アジアを旅したことがあれば、AirAsiaを使ったことがある方も多いのではないかと思います。東南アジアは、グローバル的な観点から見ても、LCCが急激に伸びている地域の1つで、その牽引役となっているのがこのAirAsiaです。
 AirAsiaは1993年ごろに航空会社として設立されたようなのですが*2、その後業績が悪化した結果、2001年末にその当時大手レコード会社の役員だったトニー・フェルナンデスに買い取られた後、マレーシアにおいて国内線を主に提供するLCCとして展開を図ってきました。その後、2003年ごろからは国際線を就航させ、2004年にはタイとインドネシアに関連会社を設立。以降2007年には「AirAsia X」のブランド名で国際長距離路線に参入し、今後はベトナムにおいても合弁会社を設立する予定としています。
 現在の就航国は20カ国以上、就航都市はグループ全体で85都市(国内線/国際線含む)以上であり、その規模は東南アジア最大と言えるでしょう。
 AirAsiaの特徴は、なんと言っても航空券の価格の安さです。時期やスケジュールによって大幅に変わるものの、基本的に同じ路線でメジャーキャリアと比較した場合、航空券の価格は半額またはそれ以下ぐらいになるのことが多いようです。また、通常、メジャーキャリアの場合の片道航空券は、もっとも低価格の往復航空券価格を1/2したよりも高価になることが多いのですが、LCCの場合、多くの場合往復の航空券というものが存在せず、片道ずつを買って往復にするというスタイルであることも場合によっては便利です。つまり、LCCの航空券はあくまでA地点からB地点までの運賃という姿勢のようで、これは利用者によっては価格についで魅力的に映ることがあるのではないかと思っています。
 ちなみに、AirAsiaのキャッチコピーは「Now Everyone can Fly(今や誰でも飛べる!)」です。このキャッチピーはこれまで飛行機を使って海外旅行をしたことがなかった人に向けたものであり、さらなるバーゲンフェアも頻繁に出しています。

日本に来るか!AirAsia X

 さて、東南アジア最大のLCCであるAirAsiaですが、先ほど述べたように、現在は3つのグループ会社が存在します。その中でもっとも新しいAirAsia Xは2007年に設立され、クアラルンプール(マレーシア)−ゴールドコースト(オーストラリア)を皮切りに次々と中/長距離路線を就航しており、今後は日本への参入も予定しています。
 これまで海外旅行と言えば、CAによる手厚いサービスが受けられるものという考えがあるかもしれませんが、LCCに関しては一切それはありません。今までの常識を覆すLCCが、日本の市民権を得られるかどうかまではわかりませんが、現在の日本人の海外旅行の考えそのものを変えるきっかけになる可能性を秘めているのではないかと思っています。

 というわけで、今回はLCCとAirAsiaの話でした。あまり旅そのものとは関係ないのかもしれませんが、こういった話を知った上で、搭乗記を読むと面白いのかもしれないなぁと思い、書いてみました。次回はAirAsia X搭乗記です。さらに、先日の旅では2回AirAsia系のフライトを使ったのですが、実はその2回とも危うく乗り遅れるところでした(また〜!)。最近、アクセス解析を見てみたところ「国際線 乗り遅れ」的キーワードでこちらのBlogを見ていらっる方が増えているようなので(これは、本当に意外でした。飛行機に乗り遅れそうになるのなんて、私だけかと思ってたのでwww)、その顛末なども書いてみようかと思います。

 では、また〜!

*1:IATAは空港コードHND=羽田、NRT=成田などの3レターコードなどの制定も実施しています

*2:すみません、このあたりは私も調べ切れませんでした