LCCの台頭とオープンスカイ

準備編の最後である第7回で取り上げたのは乗り物です。
日本にはまだ本格的に登場していないLCCや長距離バス、
列車について紹介しています。
記事はこちら→
http://journal.mycom.co.jp/series/travelguide/007/

激安か贅沢か?

LCCとはLow-Cost Carrierの略です。
日本語にすると「格安航空会社」というところでしょうか。
もっとも大きな特徴は、徹底したコストカットを行なうことで、航空券を「激安」に販売しているということ。
連載でも例に挙げましたが、東南アジアではマレーシアを本拠地にする「エア・アジア」がもっとも有名だと思います。
日本では定期就航しているLCCとして、オーストラリアのカンタス航空の子会社「ジェットスター」が乗り入れており、日本(大阪、名古屋、そして12月からは成田)⇔オーストラリア(ケアンズシドニーメルボルン)を片道20,000円〜(燃油サーチャージなどのその他経費は除く)運航しています。


LCCがここまで台頭することになった背景には、「オープンスカイ(空の自由化)」があります。
これまで航空路線は1994年に締結された「国際民間航空条約(シカゴ条約と呼ばれる)」に基づいていました。
この条約では、国際線における空港間の発着枠や路線、便数は該当する2カ国の航空協定で決められることを定めています。
オープンスカイとはこの2カ国間の協定を撤廃し、航空会社が渡航需要に応じて柔軟な路線開設を可能にするというものです。EUではこのオープンスカイが実施された結果数々のLCCが生まれ、その勢いはとどまるところを知りません。例えばイージー・ジェットやライアン・エア、エア・ベルリンなどは、使ったことはなくとも、すでに名前を聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか?


アジアでもこのオープンスカイに近い形で空の自由化が進んでおり、その結果エア・アジアをはじめとしたLCCがかなり増えています。この勢いを見逃せないのか、ナショナルキャリアもこぞってLCCの設立を目指したり、資本投入を行なったりしています。例えば韓国のナショナルキャリアの1つである大韓航空LCCの子会社「ジン・エアー」を設立し、7月には国内線に就航しました。今後は日本線への就航も予定しています。そのほかシンガポール航空はタイガー・エアというLCCを傘下に持ち、日本でもANALCCへの参入を表明しています。


その激安路線を迎え撃つのが、ナショナルキャリアのラグジュアリ化です。例えばシンガポール航空に新しい機材であるAirbus A380を投入していますが、この機材のシートにはこれまでのファーストクラスを超えた「スイートクラス」を用意して富裕層にリーチしています。また、ANAは日本⇔インド間に「ANA Business Jet」と呼ばれる全席ビジネスクラスのフライトを就航していたりと、今後の航空路線は「激安」か「贅沢」の二者択一の方向へと向かっていくのではないでしょうか。


ちなみにこれまで毎週更新していた連載はちょっと更新回数が減ります。隔週ぐらいでボチボチと旅行先に特化した準備編と旅行記を掲載していく予定です。意外と筆が進まず困っております……。