航空券とブッキングクラス


 気が付いたら第3回まで進んでいる連載ですが、第3回からは具体的な旅の組み立てに入っています。第3回では、格安航空券と正規割引運賃のメリット・デメリットを比較しているのですが、これは一般的な話であって、航空券の種類や、航空会社ごとにかなり予約条件などが違うのであまり参考にならないかもしれません。

第3回はこちら→http://journal.mycom.co.jp/series/travelguide/003/


 週末海外旅行では現地での滞在時間をできるだけ長くしたいので、フライトスケジュールがもっとも重要なポイントになります。自分が希望するフライトスケジュールを満たしていることを大前提として価格を比較することになると、ほとんどの場合正規割引運賃がもっともお得なチケットとなります。前述したとおり正規割引運賃にも色々な種類があるのですが、結論を言うと、その中でもっとも安い種類の正規割引運賃のチケットを買うことになります。

 この場合は格安航空券と予約条件があまり変わらないことも多いのですが、フライトスケジュールをその場で決定できることはサラリーマンの私にとっては大きなメリットですし、キャンセル料がフライト前日まで一律であり、格安航空券よりも安いことが多いので、急な仕事が入った場合でもギリギリまで粘れるのがうれしいポイントです。

「航空会社未定」はお得か?

 旅行代理店の格安航空券には、大抵「航空会社未定」というチケットがあります。これがお得か否かはいろいろと意見が分かれるところでしょう。確かに価格は安いかもしれませんが、私はサラリーマンの週末海外旅行に使うには、あまりメリットがないと考えています。

 航空会社未定の航空券の場合、フライトスケジュールの決定は出発の約2週間前になります。例えば、金曜の夜に出国したいと思っていても、午前中の便が割り当てられる可能性があるのです。会社を金曜を1日休むかつ、月曜も休んでも問題ないという方であればよいのかもしれませんが、私の職場の場合、突然2週間前に週末をはさんで2日休みたいとはなかなか言い出しにくいため、最初から選択肢より外しています。

 また、こういった航空会社未定の航空券として割り当てられるのは、不便で人気のないフライトが多いものです。連載では触れられなかったのですが、ノースウエスト航空ユナイテッド航空シンガポール往復航空券は、往路は夜便なのでサラリーマンにもぴったりなのですが、復路がどちらも早朝になります。金曜の夜に出国して月曜に帰国するというスケジュールの場合、この航空券を使うと現地に滞在できるのはほぼ土日だけで、月曜は移動にしか使えません。しかし、航空会社未定の航空券は、このような不便なフライトが割り当てられる可能性が非常に高いのです。事実この連載で紹介したシンガポールまでのチケットを購入した際、試しにノースウエスト航空ユナイテッド航空シンガポール往復格安航空券の往路の空席照会をしてみたのですが、シンガポール航空の格安航空券は往路がすでに満席になっているにもかかわらず、ノースウエスト航空ユナイテッド航空どちらもまだ空席がありました。つまり、この2つの航空会社のフライトはシンガポール航空に比べて人気がなく、航空会社未定の航空券に割り当てられる可能性も高いと言えるのではないでしょうか(座席数などもあるので、必ずしもそうだとは言えませんが)。

 さらに、米系航空会社のアジア路線はシンガポールだけでなく、概して週末海外旅行に不便なスケジュールが多いのです。これは個人的な感想ですが、週末海外旅行に一番お得だと思うフライトスケジュールは、大抵渡航先のナショナルフラッグキャリアが押さえているように感じています。

ブッキングクラスについて

 それと、もう1点、連載では詳しく説明できなかったので補足しておきます。「ある旅行代理店で販売している航空会社指定の3万9000円の航空券が満席で予約もキャンセル待ちもできない場合、他の旅行代理店で同じ航空会社指定の4万円のチケットの空席を問い合わせても恐らく満席なので意味がない、価格差が±1000円程度なら同じ結果であるだろう」、というくだりです。

 これを説明しだすとかなり長くなるので割愛してしまったのですが、この理由は航空券のブッキングクラス(予約クラス)が恐らく同じだろうと考えたからです。

 各航空券には、Y、S、Qなど、アルファベット1文字で示される「ブッキングクラス」というものが付けられています。これは、航空券の等級のようなものだと考えればよいでしょう。例えばエコノミークラスの航空券にもいくつかのブッキングクラスが存在します。つまり、同じエコノミークラスの航空券であっても、等級が高いものと等級が低いものがあるということです。そして、そしてその等級の高低は航空券の価格にそのまま跳ね返ってきます。等級が高いブッキングクラスのチケットは価格が高く、等級が低いチケットは価格が安い。これが、同じ航空会社の同じ格安航空券といえども、いろいろな価格がある理由です。

 このブッキングクラスが高いとどんなメリットがあるかというと、例えばマイルの加算率が高くなったり、キャンセル待ちをしている場合や、搭乗予定のフライトにオーバーブッキングがあった場合、優先的に席が回ってくるといったことです(それ以外にもありますが)。連載の中で、予約しようと思った格安航空券のキャンセル待ちができなかった、と書いていますが、これはもともとキャンセル待ちができないチケットだったのかもしれませんし、もしかするとブッキングクラスが低いチケットなので、旅行代理店側でキャンセル待ちをしても無駄と判断したからかもしれません。

 そして、同じブッキングクラスの航空券は、販売している旅行代理店は違えども、大体同じ価格で売り出されます。また、どのブッキングクラスの航空券が何枚あるのかは、各航空会社の端末で一元管理されています。つまり、私は3万9000円の航空券も4万円の航空券も同じブッキングクラスだろう、3万9000円の航空券が売り切れてるのならこのブッキングクラスの航空券はすでに満席だろう、と判断したわけです。ただし、これはあくまでも憶測なので、正確にブッキングクラスが明示されているチケットでない限り正解とはいえません。

 ところで正規割引運賃のブッキングクラスは、高いのでしょうか? その答えはYESです。もちろん、ビジネスクラスや、格安航空券でも正規割引運賃より高い価格の場合は違いますが、正規割引運賃のブッキングクラスは、格安航空券よりも高いことがほとんどです。ブッキングクラスが格安航空券よりも高いというのも、私が正規割引運賃の航空券を買う理由の1つです。

 ちょっと長くなりましたが、お役に立ちましたでしょうか? その他ご質問などあれば、コメントやメールでお寄せください。


 それではみなさん、よい旅を!